シン・エヴァンゲリオンと鶴巻和哉という男の存在

アニメ映画

Amazonプライムビデオで『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と『さようなら全てのエヴァンゲリオン~庵野秀明の1214日~』が13日に配信開始される。多くの人が観るであろうタイミングで監督である鶴巻和哉氏について語りたい ( 庵野秀明氏は総監督) 。なぜこのタイミングで鶴巻和哉なんだ?とお思いかもしれない。ドキュメンタリーである 『さようなら全てのエヴァンゲリオン~庵野秀明の1214日~』 放送時、SNS上では彼が庵野さんに振り回されたかわいそうな人として同情的に扱われ、その印象を残したまま放送は終わってしまった。私は鶴巻和哉監督のファンだ!だからこそ彼を語ることでその印象を少しでも払拭し、彼の名誉復帰の一助になれればと思いこの記事を書くこととする。凄い人なんだよほんと!

プロフィール

鶴巻 和哉(つるまき かずや )55歳。日本のアニメーション監督、アニメーター。新潟県出身。メガネフェチ、アイドル好き。2006年にスタジオカラー設立時に庵野氏の誘いを受けガイナックスより移籍。株式会社カラーの取締役。

フィルモグラフィー

1990 ふしぎの海のナディア 原画、作画監督
1995 新世紀エヴァンゲリオン 副監督、絵コンテ、演出、作画監督など
1997 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 25話監督、絵コンテ、演出
1998 彼氏彼女の事情 絵コンテ、演出、作画監督
2000 フリクリ 原案、監督(初監督作品)
2004 トップをねらえ2! 原案、監督
2007 ヱヴァンゲリオン新劇場版:序 監督、絵コンテ、原画
2009 ヱヴァンゲリオン新劇場版:破 監督、絵コンテ、原画
2012 ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q 監督、絵コンテ、原画、イメージボード
2014 龍の歯医者 (日本アニメ(ーター)見本市) アニメーション監督、絵コンテ、原画
2015 I can Friday by day! (日本アニメ(ーター)見本市) 監督、絵コンテ
2016 シン・ゴジラ 絵コンテ
2017 龍の歯医者(TV版) 監督、絵コンテ
2021 シン・エヴァンゲリオン劇場版 監督、絵コンテ、原画、脚本協力
Wikiより重要どころのみ抜粋。他にも沢山の作品に参加されているので気になればWikiをのぞいてみてください。

人物像と演出家としての能力

フィルモグラフィーを見てみて思うのは文字通り庵野秀明の右腕だということ。ガイナックス時代から一緒にアニメを作り続けてきた。演出家としては庵野氏を尊敬しており、力量差があることも認めている。(NHKドキュメンタリー『庵野さんと僕らの向こう見ずな挑戦』内での発言において)しかしフィルモグラフィーからも分かる通り、庵野秀明からの信頼も厚い人物だ。Qからシンにあたってスタッフが多く入れ替えられたが鶴巻監督はメインスタッフに名を連ねている。ガイナックス時代、社内のアニメスタッフ向けに行われた講義で演出部分の講師を担当している。その内容が旧ガイナックスのホームページにおいて連載されていたが現在はホームページの一新によって消えている。しかし、 GAINAXアニメ講義 と検索してもらえればログをとってくれている人がいるので今でも読むことができる、ぜひ読んでみてほしい。彼の能力の高さがわかる。
そして最も伝えたいことは鶴巻監督は近代(00年代以降)アニメーションの理想形を作り上げた人物だということ。初監督作品である『フリクリ』という作品がそれにあたる。金字塔ともいえる作品だがなぜか国内における知名度は低い・・・ しかし、海外では非常に人気がある、(海外サイトでの日本のアニメランキングには常に上位に入ってる)それに目をつけたプロダクションIG(フリクリをガイナックスと共同制作している)が映画化するために資金難だったガイナックスから原作権を買い映画化している。当然カラーも買い戻そうとしていたみたいだが・・・ 詳細はこちら『エヴァ』の名を悪用したガイナックスと報道に強く憤る理由 現在、原作権は鶴巻監督(カラー)のもとにはない状態である。とても残念ではあるが閑話休題。フリクリの理想形の話しに戻ろう、フリクリについてはまた別にブログの記事にするつもりでいるので多くは語らないが、トップアニメーターである井上俊之氏(エヴァQ作画監督)がTBSラジオ アフター6ジャンクション 2021年3月30日 特集:「エヴァ」シリーズの作画を総括してみる(ラジオクラウドアプリにて現在もアーカイブ視聴可) にて鶴巻監督とフリクリについて語っている。詳しくは聴いていただきたいが要約すると アニメーションが00年代以前に培ってきたとリアル志向とマンガっぽいケレン味ある表現がうまくミックスしたビジュアル(作画)を獲得し、日本のアニメが得意とする表現を幅広く取り入れられるスタイルがこの作品によって確立した。以後のアニメーションは多かれ少なかれこの作品を土台として作られている。 としている。この作品はTVシリーズのエヴァ(1997)の後に作られた作品だ(フリクリは2000)。TV版から新劇場版への映像進化の一部分は鶴巻監督が作り上げたフリクリが日本のアニメ業界に影響を与えそれを再回収する形で新劇場版へと反映されている。

シン・エヴァンゲリオンと彼の貢献

新劇場版における制作関連の情報を追っかけている人ならわかると思うが、庵野秀明総監督は作画段階に入るとあまり介入せずにクリエイターに多くをまかせ出来上がったモノをジャッジする役割に徹している。これは自分の想像したものでなく他人のアイディアを多く取り入れるとことで自分の想像する画の100%の壁を超えるために用いられている。シナリオやアイディアだしや設定という最初と出来上がったモノに対するジャッジという最後、この点におけるクオリティ管理は庵野総監督が行っている。じゃあ中間部分は誰が管理しているかといえば鶴巻監督が多くの役割を果たしているといっていいだろう。それはドキュメンタリー 『さようなら全てのエヴァンゲリオン~庵野秀明の1214日~』 にも描かれていた部分であり時間が経つにつれ白髪が増えてゆく鶴巻監督の頭が物語っている。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』メイキングライブ配信内でも演出チェックに鶴巻監督の名前がよく上がっていた。つまり新劇場版シリーズは鶴巻監督の持つルックが色濃く反映されている。2017年公開の『龍の歯医者』を観ていただければわかると思う。作品自体が持つルックがエヴァシリーズと酷似している。エンドクレジットからだけではこうしたことは読み取れない部分であり、総合芸術であるアニメーションを観るうえで個々のクリエーターに目を向ける重要性を感じさせてくれている。

マリは安野モヨコ?

エヴァは考察に関しては散々されつくされているので私はするつもりはないが、マリのモデルが安野モヨコ氏であるという考察はまさに庵野秀明総監督にしか目を向けていない結果のように思う。マリの登場自体は商業的理由から新キャラと新エヴァを出してほしいというプロデューサー側の要望から始まったことだしマリの見た目や性格は鶴巻監督のリビドーが入ってることがエヴァスタッフが行った公式ラジオでも語られている。鶴巻監督はメガネフェチであるしマリの性格はトップをねらえ2!のノノやフリクリのハルハラハル子を感じさせる。まさに鶴巻和哉の趣味が色濃く出ているキャラクターである。

まとめ

シンエヴァを既に観た人もこれから観る人も少しだけ鶴巻監督の存在を感じていただければと思う。彼が監督した作品はどれも面白いし、それらを観ることでエヴァンゲリオンシリーズをよりいっそう楽しむことができると思う。また、冒頭にも書いたがドキュメンタリーの印象を少しでも払拭できていたらと思う。
フリクリについてや鶴巻さんに関してより深く書いた記事を今後書けたらなと思っています。その際はまた読んでやってください。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました!><

コメント